「さうだ。忘れてゐた。僕水筒に水をつめて置くんだった。」
 
「僕はね、水筒の外に薄荷水(はくかすゐ)を用意したよ。少しやらうか。旅へ出てあんまり心持ちの悪い時は一寸(ちょっと)飲むといゝっておっかさんが云ったぜ。」
 
「なぜおっかさんは僕へは呉(く)れないんだらう。」
 
「だから、僕あげるよ。お母(っか)さんを悪く思っちゃすまないよ。」
 
 

宮沢賢治 いてふの実

ちいさなころの記憶

This was posted 2 years ago. Notes.